「鉄は燃えないけれど木は燃える」
だれもがそう思っています。
しかし!
火災安全性からみるとどうでしょう。
実は木の家は、結構しぶといのです。
木が燃えだすのは、温度が300℃になってから。
木は不導体(電気を伝えない物質)なので、柱の表面が燃えても、中はすぐには影響を受けず、梁などの荷重を支え続けます。
その間に人は避難することができます。
このことを事実をもって教えてくれたのは、法隆寺金堂でした。
法隆寺金堂は679年に建てられ、1949年まで一度として火災に遭ったことはありませんでしたが、1949年1月26日、暖房器具の不始末から火災になり、貴重な壁画が消失、大破しました。
しかし、建物の主要構造部分はほとんどが残っており、わずかな修復工事を施しただけで、今も斑鳩の里に建っています。
鉄の建物は、それ自体は不燃です。
反面、鉄は熱伝導性が高く、火災になり炎が鉄の階段を舐めると、人はもう身動きがとれなくなります。
そして高温に達すると、鉄はぐにゃりと変形します。
現代の火災で一番恐いのは、新建材によるガス事故です。
火災になっても有毒ガスを発生させない自然素材を選ぶことが、最善の火災対策なのです。